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蛋白漏出性腸症(低蛋白血症)

内視鏡 記事一覧

  1. 蛋白漏出性腸症(低蛋白血症)

    3歳のフレンチブルドックの女の子が下痢を主訴に来院されました。
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    まずは糞便検査を行ったところ異常は認められなかったため、一般的な下痢の治療薬を処方しました。ほとんどの場合このような対症療法で改善します。しかしこの子は改善がみられなかったため感染性下痢の除外のために便の遺伝子検査(PCR検査)を行ったところ全て陰性でした。
    PCR

    また、血液検査にて低蛋白血症(Alb1.7・TP3.5)がみられました。
    低蛋白になると腹水・胸水がたまったり、血栓ができやすくなるため命に関わることがあります。よって診断を急ぐ必要があります。

    診断にはまず低蛋白血症を引き起こす他疾患を除外します。
    低蛋白血症の原因疾患としては蛋白漏出性腸症・蛋白喪失性腎症・肝不全・重度の皮膚欠損・重度の出血・胸・腹膜炎・飢餓・低栄養・膵外分泌不全・アジソン病・若齢動物などがあげられます。低蛋白血症になる病気は多数あるため、診断のためには多くの検査が必要になりますが、1つ1つ除外していくことが大切です。

    上記疾患を除外するために胸部・腹部X線検査・腹部エコー検査・尿検査・尿蛋白クレアチニン比・総胆汁酸・c-TLIの測定を行ったところ著変は認められなかったため、蛋白漏出性腸症を疑い、後日、内視鏡検査を行うことになりました。

    【内視鏡で観察した十二指腸粘膜】
    P1150155

    P1150156

    腸には明らかな病変は認められませんでした。ただし肉眼では正常にみえても顕微鏡でみると異常であることがあるため、蛋白漏出性腸症を疑い内視鏡検査をする際は生検鉗子を使い腸粘膜の生検を行います。

    【生検鉗子】
    P1150334
    この鉗子の先で腸粘膜を採材します。

    【生検した腸粘膜】
    P1150164

    腸粘膜を病理組織検査に提出したところ「慢性腸炎」と診断されました。

    慢性腸炎の原因としては①食事反応性腸症②抗菌薬反応性腸症③炎症性腸疾患などが考えられます。この3つは病理組織検査で鑑別することができないため各々の治療反応をみて診断します。今回は飼い主様がご家族で相談し、腸に負担をかけづらい食事を手作りする事になりました。その結果として下痢は良化し血液中の蛋白濃度は劇的に改善されました。
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    【蛋白漏出性腸症とは】
    何らかの基礎疾患によって蛋白が腸粘膜から腸管腔に漏出し、血液検査にて低蛋白血症がみられる病態です。
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    <主な基礎疾患>
    腸リンパ管拡張症・炎症性腸疾患(IBD)・消化管腫瘍・重度の消化管寄生虫・真菌感染(国内はまれ)・腸重責・パルボウィルス性腸炎・胃潰瘍からの出血など
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    <臨床症状>
    下痢・嘔吐・体重減少・腹水・胸水・皮下浮腫・発作・血栓塞栓症など

    2013年10月29日(火) 投稿者 teramoto | 内視鏡, 治療例, 消化器疾患

  2. 内視鏡による胃内異物摘出術

    5ヵ月齢のわんちゃんが肉団子を串ごと食べてしまったとの主訴で来院されました。
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    まずはX線造影検査を行ったところ、胃内に串が残存していることが疑われました。
    X線検査にて異物はうつることもありますが、うつらないこともあります。
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    このまま胃内に竹串が残ったままだと胃潰瘍・胃穿孔をおこし命に関わることもあるため、飼い主様と相談した結果、まずは内視鏡による異物摘出を試みたところ、胃内に竹串がみられました。
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    胃粘膜には発赤・出血痕がみられ、竹串が胃粘膜を刺激してしまった可能性が考えられました。
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    内視鏡にて竹串を摘出しました。
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    【摘出した竹串】
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    内視鏡によって食道内・胃内異物を手術せずに摘出できることがあります。摘出できない場合は手術が必要になります。

    当院では異物を食べてしまった子に対しては、吐かせることができる異物の場合、催吐処置をすることがありますが、尖がったものなど吐かせることができない異物の場合はまずは内視鏡にて摘出を試みて、摘出が難しいようでしたら飼い主様と手術を行うか相談しております。

    今回のように尖がった物質は催吐させることによって食道を穿孔させてしまう可能性があるため催吐処置をすることはできません。内視鏡または外科手術が第一選択となります。

    2013年10月16日(水) 投稿者 teramoto | 内視鏡, 治療例, 消化器疾患, 画像診断